令和7年9月7日（日）、長野県茅野市・車山高原（標高約1,600メートル）に鎮座する「単車神社（オートバイ神社）」において、年に一度の「例大祭・交通安全祈年祭」が盛大に斎行されました。
日本を代表するツーリングロード「ビーナスライン」に吹き渡る高原の風と、秋の訪れを告げる青空のもと、全国から集まった数多くのライダーやバイク関係者が心をひとつに祈りを捧げました。本祭典は、全国約1,000万人のオートバイ乗りの交通安全祈願を大義とし、さらにこれまで無事故であったことへの感謝を神前に捧げる神聖な機会です。
車山神社は、「走ること」そのものに感謝と祈りを捧げ、文化へと昇華させた全国でも稀有な存在です。祭典当日は、まるで天空の社がライダーたちを見守るかのような厳かな雰囲気に包まれました。
単車神社（オートバイ神社）とは
主祭神として祀られるのは「みちひらきの神」として知られる猿田彦大神。古来より人々を正しい道へと導き、現代においても交通安全と人生の安寧を司る尊い神として広く信仰されています。境内では無料の「愛機お祓い」が行われ、ライダーたちは大切なバイクを祓い清め、安全な旅路を祈願。また、鳥居前には「茅の輪くぐり」が設けられ、参列者は愛機と共に輪をくぐり抜けることで、身と心を新たに整えました。
さらに巫女による「浦安の舞」が奉奏され、静謐な舞が高原の澄んだ空気と響き合い、参列者の胸に深い感動を残しました。続いて、日本遺産大使であり重要無形文化財総合指定保持者、能楽師囃子方大倉流大鼓の大倉正之助氏による奉納演奏が行われ、境内は一気に厳粛な緊張感に包まれました。鼓の響きはライダーたちの鼓動と共鳴し、祈りの場をより一層神聖なものへと高めました。
世界耐久選手権・日本人初のチャンピオン、北川圭一氏によるライディングスクールを開催
午後から、茅野の豊かな自然に触れながら、世界耐久選手権で日本人初のチャンピオンとなった北川圭一氏を講師に迎えたライディングスクールを開催。ライダーたちは技術と安全運転の心得を学び、実際の走りの中でその奥深さを体感しました。トップライダーから直接指導を受けられる機会は、若い世代の参加者にとっても忘れられない学びとなりました。さらに夜には、車山高原スカイパークホテルにて「鈴鹿8時間耐久ロードレース2025」解説会と直会（なおらい）が催されました。
北川氏とともに、大倉正之助氏も登壇。走りと芸能、スポーツと文化が交差する語らいの場となり、参列者たちは軽食や飲み物を囲みながら、技術と精神の共鳴を感じ取りました。このように、本例大祭は交通安全祈願・伝統文化の体感・地域の魅力発信の三位一体となった新たな価値を創出しました。
この祭典を通じて、多くの参列者が「走りは感謝と祈りであり、文化である」という新たな視点を得ることができました。単車神社例大祭は、交通安全を祈念するだけでなく、日本の伝統文化を次世代へと伝える役割を担い、茅野市の自然と人々の温かさを国内外に発信する貴重な機会となりました。今後も本祭典は、ライダーの聖地としての価値を高めるとともに、地域とともに歩み、文化と自然を未来へとつなぐ場として発展してまいります。
